出張パックの管理方法
○9月陥日土曜晴のち雨今日はN建設のO専務に悪いことをしてしまった。
面目なし、許してほしい。
自分の不明を詫び、ご迷惑をかけたことを陳謝したい。
すべては私の責任であり、事業意欲の甘さに起因する。
私も不動産業を羽年やってきたが、今回のような詐され方をしたことはないし恥をかいたこともない。
初めての体験である。
私とN建設のO専務とは、かねての打合せ通り、新築住宅の契約締結のためにK氏の自宅に伺った。
約束通り2時半である。
それまでに3回の前打合せを行い、K氏の希望や予算、○9月別日日曜曇のち雨と小声で言われて、びっくりする。
今どきの会社は経費削減で平気で首を切るから、ほんとに危い。
合併するかと思えば、掌を返したように、弱い者をはじき飛ばす。
私は同情しながらも、改めて室内を点検する。
洗濯室に汚れもあるけど、上手に工夫すればクリニーングでとれるだろう。
2万円のクリニーング代を、8000円でやることに決める。
この人はかわいそうに、リフォーム代の徴収を恐れて、こんなにも気を使って住んでいたのか。
きれいな室内を見て気の毒に思う。
電気・ガス・水道の生活ラインも清算した由。
鍵をもらって、〃頑張ってくださいね〃と思わず励ます。
「いやあ、実はねぇ。
私は配管屋だけど、建築仲間がいてねえ。
昔から一緒にやってんのよ・仕事をやらせてくれとうるさく言われて、頼んでしまったんだよ」「そんな無茶な、困りますよ」「悪いけど、この親方のは断わりきれなくてねえ。
毎日会う仲間だからさあ」と、悪びれもせずに平然としている。
北国の人だからお人好しだと思っていたら、顔に似合わずとんでもない食わせ者である。
人の良いはずの奥さんも、知らんふりである。
私は腹が立って尚も食い下がろうとすると、横にいたOさんが私のズボンの端を何度も引張った。
間取りを聞き、工事費の調整もしている。
私以上に忙しいOさんは一級建築士で、会社では副社長のベテランであり、私もK氏のアパートを管理している間柄なので、商談は綿密を極め、長時間に及んでいた。
しかも、今日は日曜休日なのに、Oさんは出てきている。
そのような過程や経過を充分承知で、K氏は突然発注を第三者にする、と豹変した。
全くの寝耳に水である。
私とOさんがびっくりしたにもほどがある。
一瞬わが耳を疑い、からかっているのかと思ったが、どうやら嘘ではないらしい。
「何故ですか、Kさん。
契約をしてくださると言うから、本日は用意して伺ったのです。
今まで何回も打合せをし、話を積み重ねてきたじゃありませんか。
約束通り契約してくださいよ」今日は、うれしいことが重なる。
一つはT大博士課程の姪より、「臨床心理士」の試験に合格したとのこと。
難しい大学に入ってよく勉強したけど、やっと飯が食えるね。
おめでとう〃もういい〃という合図である。
そこで仕方なく、「Kさん、考え直してN建設に発注してください。
設計図も何回も書き直したので、こんなにたくさん出来たのですよ」と言いながら、おいとました。
何ともやりきれない嫌な事である。
良い知識や知恵を出し、高度な技術を発揮して、ただで第三者に仕事をとられる。
帰りの途中、2人は行きつけの喫茶店に入った。
そこで、私はOさんに私の不明を恥じた。
K氏のようなお客を紹介し、K氏が裏切ったことは、誠に恥しいことである。
あんな悪質な利己主義者とは、思わなかった。
O氏はくやしさをじっとこらえて、ただ一言、「いいですよ、社長。
いいんです」特に第一の失敗は反省の余地があり、今後のために誤りを犯さないよう気をつける必要がある。
と言うのは、たいした欠陥でもないのに、家主が悩み、その果てに建てた工務店を逆恨みするケースがあるということを忘れてはならない。
話を簡単に説明すると、8年前にN建設がYさんのアパートを建てたとき、敷地の一部が下がって、水たまりが出来た。
雨が降れば歩きにくいので、当然入居者から苦情がくる。
Yさんは私に連絡し、私はN建設に補修を頼むが、N建設はなかなか動けない。
8年も前のことは責任がないから、当然有償だが、金を払うと言わなければやりたがらない。
これで小遣いをやらずに済むのか~ちょっとさびしいけど、それ以上にうれしい。
他の一つは、N建設がマンションを受注したこと。
これで、どうにか後味の悪いK氏の埋め合わせができそう。
今回のマンション受注はYさんからで、ニつ目のマンションとなる。
もっとも、受注できたのは私の力でなく、当社の店長の努力のお蔭にすぎない。
彼が休日や夜を返上して、Yさんを口説き説得したもの。
それにひきかえ、私とN建設はこの件ではへまなことをやってきた。
失敗したというより、受注を妨害したと言えよう。
第一の失敗は、Yさんのアパートの水たまりを修理できなかったこと。
第三の失敗は、Yさんが外国旅行を楽しみたいと言うのに、私が忙しくて付き合えなかつ例年は秋にも賃貸シーズンがあり、部屋探しに来るお客様も多いのに、今年は少ない。
こている内に、また苦情がきて、まだ直さない。
これが何回も続くと、まじめなYさんは思い通りにいかないので、頭が痛くなる。
私もなんとかしようと思うが、自分ではできない。
やっとN建設が溝をつけたので、少しは水排けが良くなった。
そこへ第2マンションの話が持ち上った。
さて、どうなるかと言うと、苦い経験をしたYさんは、すんなりN建設に発注してくれない。
その不信の理由は、水たまりにある。
当然である。
「いや、平らにしたけど、地盤が下がったんですよ。
今どきよい職人がいなくてですねえ。
大手業者も同じです。
斜面をつけるべき所を、平らにするんですよ。
中には逆で、傾斜を逆につけて平気な職人もいますよ」と、しどろもどろしながら、言い訳をすることになる。
そんな蔭の苦労話もあるが、とにかく受注できたことはありがたい。
当社も入居者の募集や管理に全力をあげることになる。
でもネ、N建設さん。
仕上りに気をつけてね。
毎日使う人が困るような工事をしては、いけませんよ。
また苦情がきたら、どうするんですか~朝皿時に珍しい人来社。
かつてはM銀行のH支店長だったW氏。
加年前の支店長時代、当社のアパート建築に融資をしてくれた人でいわば恩人。
彼の力添えで融資を受け、4棟のアパートを建てた。
最初の1棟は完済し、当社のドル箱的存在。
聞けば狛歳で退職させられて、グループ会社のゴルフ会員権販売営業職とか。
彼の訪問の趣旨は、聞かなくても解る。
人好きする人で合理的な人だから、一口買ってあげようとするが、会員権が紙くず同様に値下りしているのを思うと、気が進まない。
買えの重要な事実を除けば、その他異常なし。
景気は相変わらず雨模様。
会社の売上げを確保するため、諸々の方策を考える。
まずホームページを充実し、看板を多く出し、店頭の美観に気をつけ、契約者に感謝の粗品をあげ、管理物件をクリニーングして清潔を旨とする。
接客を良くし、家主、地主まわりもやる。
経済の実態は読めないけど、人事を尽くして天命を待つ心に似る。
午後に大神宮参り。
拝めど不景気に勝てず。
だが、本心を言うなら、実力者は不況の中でも勝つもの。
せめてこのぐらいの心意気はある。
いつもより岨分早く出勤。
店長はすでにお茶を沸かし、床掃除をしている。
社員は私の後に出社。
C子は始業の1分前にすべりこみ。
3人共、だらだらと掃除する。
(少しだらけてきたな。
いつか注意してやろう)店頭看板の2DKのチラシがなくなっている。
誰か補充するだろうかと期待したが、5分待ってもダメ。
期待外れ。
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